ジャーナリングの効果的なやり方とは?心を整える「書く瞑想」で心が楽になる

あなたは、理由もなくモヤモヤしたり、原因が分からないまま情緒不安定になったりすることはありませんか。そんなときにおすすめしたいのが、自分自身の心と向き合うセルフセラピーを試してみることです。
とは言え、「セルフセラピーなんてやったことがない」「どう取り組んだら良いのか分からない」と感じる方もいるでしょう。そこで紹介したいのが、ジャーナリングです。書く瞑想とも呼ばれるこの方法は、紙とペン、あるいはスマートフォンのアプリさえあれば、自分の心と向き合うことができます。
本記事では、そんなジャーナリングについて徹底解説。正しいやり方や期待できる効果はもちろん、ジャーナリングに関する科学研究、活用したいスマートフォンアプリも併せてご紹介します。
ジャーナリングとは?
ジャーナリングとは、あらかじめ制限時間を決めて、頭に浮かんだことを自由に書き出す行為のこと。
心に浮かんだ思いや思考をそのまま文章に起こすことで、思考や感情を整理したり、混乱した精神状態を落ち着かせたりする効果が期待できます。近年では、科学的な根拠に基づいたセルフケアやセルフセラピーの手法として、世界中で多くの人に実践されています。
ジャーナリングと日記の違い
多くの人が陥りやすい勘違いの一つに、ジャーナリングと日記を混同してしまうというものがあります。しかし、ジャーナリングと日記はまったくの別物。
日記は、その日の出来事や感情、思考を記録することを目的に文章を書きます。一方、ジャーナリングは自分の心と向き合うために頭に浮かんだことを紙に書き出します。つまり、「日記は出来事などを記録するためのもの」「ジャーナリングは心との対話をサポートするためのもの」と、異なる目的を持っているのです。
また、時間や形式を決めずに自由に行うのが日記、時間や書き方を決めて取り組むのがジャーナリングと考えることもできるでしょう。
ジャーナリングと瞑想の関係
ジャーナリングは、ときに「書く瞑想」と呼ばれることもあります。瞑想は、呼吸や身体の感覚に意識を向けることで、思考や感情を整理し、心を落ち着かせる手法のこと。もとは仏教の修行法の一つでしたが、近年では「マインドフルネス瞑想」として知られ、リラクゼーションやストレスケアの方法として注目を集めています。
マインドフルネス瞑想は、呼吸や感覚に意識を集中させることで、「心ここにあらず」といった状態から、「今この瞬間」に意識を取り戻すことを目的としています。
ジャーナリングもまた、今の感情や思考を文字に書き起こすことで、意識を現在に向け直すサポートになると考えられています。
ジャーナリングに期待できる効果
ジャーナリングには、さまざまな効果が期待できると言われています。中でも注目されているのが、感情や思考を整理したり、自分自身を客観視できるようになるという点。
その他にも、自己理解が深まったり、不安や恐怖、自責といったネガティブな感情を和らげるといった効果も期待されています。
次の項目では、こうした数あるジャーナリングのメリットの中から、特に得られる可能性が高いとされる3つを厳選して、詳しく解説していきます。
感情や思考の整理
ジャーナリングは、感情や思考の整理に役立つとされています。継続して取り組むことで、感情や思考に振り回されにくくなり、情緒が不安定になったり、心や考えが混乱したりするのを防ぐことができるとも言われています。
気持ちが乱れやすい方、理由の分からないモヤモヤを感じている方、考えがまとまらずに困っている方におすすめのセルフセラピーです。
自己理解の促進
ジャーナリングの魅力の一つに、書いた内容を後から読み返せるということがあります。過去の記録を振り返ると、自覚していなかった考え方の癖や物事の捉え方の傾向に気づいたり、自己理解を深めるきっかけを得られたりする可能性があります。
自己理解が深まると、ストレスやメンタルのトラブルへの対処がしやすくなったり、自分に対して肯定的な気持ちが育まれたりするでしょう。自分をもっと深く知りたいと考えている方におすすめのセルフケア方法です。
ネガティブ感情の改善
ジャーナリングを行うことで、自分の感情と適切な距離を取れるようになるという意見もあります。ネガティブな感情に振り回されてしまうのは、主観的にその感情を体験しているから。つまり、客観視ができていないことが原因です。
ジャーナリングを通して、自分の感情を客観視することができるようになると、ネガティブな感情やストレスに振り回されなくて済むようになります。感情に飲み込まれそうなときや、ネガティブ感情に振り回されやすい方は、ジャーナリングを実践してみると良いでしょう。

ジャーナリングと関係のある科学的研究
ジャーナリングには、いくつかの科学的な根拠があることが分かっています。例えば、ある研究では、ネガティブな体験を毎日15分文字に書くだけでストレスが軽減され、心理的な状態や免疫機能が改善されたと報告されています(Pennebaker, 1997)。
また、心的外傷を抱える人を対象とした研究(Sloan et al., 2008)では、数日間にわたる筆記演習によって、不安やフラッシュバックが軽減される効果が見られました。
さらに、ポジティブな体験を書くだけで、幸福感が上がるという研究結果(Burton & King, 2004)もあります。
このように、書くという行為が私たちの心や身体に与える影響は、科学的にも証明されつつあります。次の項目では、ジャーナリングの発展や理解に関係する3つの研究を厳選して紹介します。
書くことが心身に与える効果についての研究(1997年)
ジャーナリング研究の第一人者として知られる、テキサス大学の心理学者ジェームズ・W・ペネベーカー(James W. Pennebaker)教授は、書くことが心身に与える心理的・生理的効果についての研究を行っています。
この研究では、1日15〜20分のジャーナリングを4日間連続で行ったグループと、そうでないグループを比較。その結果、ジャーナリングを行ったグループでは、ストレスレベルの低下や心理的な安定、さらには睡眠の質の向上や、免疫機能の改善といったポジティブん変化がみられたと報告されています。
心的外傷を抱える人を対象とした研究(2008年)
テンプル大学のDavid M. Sloan博士らの研究では、医師からPTSDと診断された成人女性男女20名を対象に、20分×3日間の筆記演習を行わせたところ、PTSDの症状や抑うつ症状の軽減が確認されたと報告されています。
ただし、この研究は専門家が主導して行っているものです。実際にトラウマやPTSDの診断を受けている人は、医師や専門家に相談してから行うようにしましょう。できる限り安全にジャーナリングを行うためにも、あくまでも自己判断で始めることがないようにしてくださいね。
ポジティブな体験の筆記が与える影響についての研究(2004年)
ペネベーカー教授やスローン博士の研究では、辛い出来事を書き出すことによる心理的効果に注目していました。ですが、ポジティブ心理学の研究者ローラ・A・キング氏(Laura A. King)とキャロライン・M・バートン氏 (Caroline M. Burton)の研究では、ポジティブな体験の筆記が心身にどのような影響を与えるのかを検証しています。
この研究では、90名の大学生を対象に、3日間連続で1日20分間、決められたテーマに沿って筆記課題に取り組んでもらいました。ポジティブな体験を記述したグループと、感情に関係のないテーマで書いたグループを比較した結果、ポジティブ体験を書いたグループのほうが、幸福感やポジティブ感情の持続的な上昇が確認されています。
ジャーナリングの正しいやり方・手順
ジャーナリングには、一般的に広く知られているやり方や手順があります。完璧に行う必要はありませんが、一般的に広く知られている手順を意識することで、生活に取り入れやすくなったり、効果を実感しやすくなったりする可能性があります。ぜひ以下の手順を参考に取り組んでみてくださいね。
- 紙とペン、または文章を記録できるスマホアプリを用意する
- テーマと時間を決める(5〜20分など、無理のない範囲がおすすめ)
- タイマーを設定し、時間になったら通知が鳴るようにする
ジャーナリングを実践する上で大切なことは、後から読み返せる状態にしておくことです。そのためには、チラシの裏などではなく、読み返しやすいノートや手帳に記録していくのがおすすめ。お気に入りの手帳やノートを用意すれば、自然と習慣化できるかもしれません。
とはいえ、中には「手帳やノートを開いて書くのはちょっと面倒」と感じる方もいるでしょう。そんなときは、スマートフォンアプリ「Awarefy(アウェアファイ)」を活用するのも一つの手です。

アウェアファイは、早稲田大学・熊野宏昭研究室との共同研究から生まれたセルフケアアプリ。ジャーナリングのサポートに役立つ記録機能「コラム法」や、AIキャラクターの「ファイさん」がコメントを返してくれる「AIコメント機能」などが搭載されています。
ジャーナリングに取り組むにあたって、紙やペンを準備する手間がいらないのも、アプリならではの利点と言えるでしょう。アナログでの記録にハードルを感じる方や、続けていけるか不安な方、疲れていて時間がない日などにも、無理なく取り入れられるツールです。
まとめ
いかがでしたか。
ジャーナリングは、感情や思考を整理し、自己理解を深めるとともに、ネガティブな感情との向き合い方を見直すために有効なセルフケアの手法です。シンプルで始めやすい一方で、数々の心理学研究でも効果が示されてり、その有用性は科学的にも裏づけられています。
健康的な心を手に入れたい方や、自分自身をもっと深く理解したいと考えている方は、ぜひ日々の生活にジャーナリングを取り入れてみてください。
手帳やノート、筆記用具を用意して始めるのも気分が上がって良いですが、「アナログで実践するのはハードルが高い」と感じる方は、アプリを活用して気軽に始めるという選択肢もあります。
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ジャーナリングは、無理なく続けることが何よりも大切。ぜひご自身に合ったペースで、できるところから無理なく実践してみてくださいね。
- 参考文献
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Pennebaker, J. W. (1997). Writing about emotional experiences as a therapeutic process. Psychological Science, 8(3), 162–166 .https://journals.sagepub.com/doi/10.1111/j.1467-9280.1997.tb00403.x
Sloan, D. M., Marx, B. P., & Greenberg, E. M. (2008). A brief writing intervention for posttraumatic stress disorder: A pilot study. https://doi.org/10.1016/j.brat.2008.05.006
Burton, C. M., & King, L. A. (2004). The health benefits of writing about intensely positive experiences. https://doi.org/10.1016/S0092-6566(03)00058-8
cocolology(2025). 心理学における内観とは?心の健康を保つための内観アイデア5選. https://cocolology.com/?p=57
HANDS(2024). 書く瞑想「ジャーナリング」とは?やり方や内容、効果を高める方法までご紹介. https://hands.net/hintmagazine/stationery/2312-journaling.html?srsltid=AfmBOoo-lN24LswKPPT3Yrprfj3-hj-VHcorTLw9bRQYMadL1PM0ZBv2
Yahoo!ニュース(n.d.). モヤモヤを解消!心を整える「ジャーナリング」とは? やり方や効果、続けるコツを解説. https://news.yahoo.co.jp/articles/da20066bd38db9321df021aac97d94901c91e51f
maruman(2024). 「ジャーナリング」(書く瞑想)で頭を整理!具体的なやり方やおすすめのノートは?. https://www.e-maruman.co.jp/yomubungu/detail/20241031171942.html
yoi(2024). “書く瞑想”「ジャーナリング」とは? 専門家に聞くやり方や効果、体験談までご紹介! . https://yoi.shueisha.co.jp/body/mentalhealth/6390/
日本の人事部(2024). 【ヨミ】ジャーナリング. https://jinjibu.jp/keyword/detl/1701/
ダイヤモンドオンライン(2025). 【書いた瞬間、悩みが消えていく!】認知行動療法の専門家が「嫌な出来事があったら書くこと」をすすめる超納得の理由とは?. https://diamond.jp/articles/-/361160